タカラモノ~小さな恋物語~
ここは雑貨屋――――シュクレ・メゾン。
生活インテリア用品から衣類、アクセサリーや小物、ちょっとした家具まで売っている。
数店舗だけれど全国にお店を展開している。
大企業とは言えないが、小さいながらも安定した業績を保っているらしい。
そんなお店でアルバイトをしている私、百瀬 飛鳥-momose asuka-20歳 大学2年生。
ここで働き始めて7ヶ月。
ここでのアルバイトが大好きで、大学に通うよりも全然楽しい。
「包装お待ちのお客様……、大変お待たせ致しました。」
「あら、素敵。ありがとう。」
「ありがとうございました、またお越し下さいませ。」
隣でケンと、嬉しそうなお客さんの声がした。
しばらくしてお客さんの列が落ち着いた。
「ケン、ありがと。」
「うっす。あ、そーだ。あのセール商品なんだけどさ……」
相川 健吾-aikawa kenngo-19歳 大学1年生。
通称、ケン。
失礼だけど、こんな可愛らしい雑貨屋さんには不釣り合いな男の店員。
でも一応こう見えても、仕事では私より1ヶ月程先輩。
そんでもって、悔しいけどプレゼント包装のセンスは抜群。
「えーどうだろ。鈴音さんか店長に聞いてみないと…」
「だよなぁ…」
よりによって今日は2人ともお休みだった。
「じゃ、ももてぃに任せるわ。どうする?」
「は?なんで私なの!?結城さんか石井さんに聞けばいいじゃん。」
「俺、あのお二方には好かれてないからさ。」
「そんなの知らんよっ」
「頼むよ~店長に今日までにあそこのセール品売り場の処理頼まれてるんだって。この通り!」
そう言ってケンが手を合わせて、頭を下げる。
はぁ~、ったくもう…
「今度ジュース奢りね。」
「よし!さすがももてぃ!」
にんまりと笑うケン。
甘いな、私も…と思いつつ、パパッと自分の残っていた仕事を終わらせて、ケンを手伝った。