タカラモノ~小さな恋物語~



「彼氏って、もはや呼べるのかは分からないけれど…、そんな感じの人は高校生の時に一人いた。」


「へぇー」


「でもすぐ別れちゃったよ、1ヶ月半とかかな?

原因は私、全くと言っていいほど恋人第一にならなかったんだ。部活とか家族、友達、自分の時間の方が優先だった。

今となれば本当に申し訳ないんだけど、多分彼のことそんなに好きじゃなかったんだよね…。

あとそれ以上に……。」


「それ以上に?」



私は苦笑いをした。


「高校1年生の時の担任の先生のことが、ずーっと好きだったんだ。」


「担任…ねぇ。」


「悪い女でしょう?ほかに好きな人がいるのに、告白されて、でも断る勇気もなくて付き合っちゃうとかさ。

本当に彼には申し訳なかったなぁ…。」



結局、あの時は確か、飛鳥との距離を感じる、なぁんて言われて最後はフラれたっけ。



「ふーん、で、結局その先生とは?」


「え、あぁ…。好きって言っても、憧れみたいなところの方が強いと思うよ。別に教師と生徒の禁断の恋なんていうドラマみたいな展開を望んでいたわけではないし。

ていうか、そもそも先生、結婚してたし子どももいるからね!」


「は?ももてぃそんな人追っかけてたの?!」


「追っかけてたっていうか…うーん、なんていうかなぁ。伝わるかな、この感じ。」



過ぎ去った昔を思い出す。


大好きだった先生の姿。


あぁ、これこれ、この感じ。


今でも胸が締め付けられるような、キューっとした甘酸っぱい気持ちになる。




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