タカラモノ~小さな恋物語~
その後、結局ケンの恋バナを聞くタイミングを逃し、どうでもいい他愛もない話で盛り上がった。
私はもう一杯、ファジーネーブルを飲み、ケンは梅酒のサイダー割り2杯と、モスコミュール、ジントニックを飲んでお疲れ会を終了した。
「はぁー、結構飲んだ。フラフラする。」
「ももてぃ顔赤い~!」
「うるさい。ケン、平気?」
「おうよ、まだ全然飲める、余裕余裕~」
ケンはピースサインをする。それを見て私は、ただただ感心する。
「じゃあ、そろそろ行こうか。」
「あ、うん。ももてぃ、その前に!」
「え?」
ケンは何やらカバンをゴソゴソする。
何だろう、と思って見ていると、息をのんだ。
「はい、ももてぃ。メリークリスマス!」
え、うそ…?
目の前に差し出されたのは、綺麗にラッピングされたプレゼント。
「やだ、ケン。私何も…」
「ん、いいのいいの。これは日ごろのお礼も込めて。ももてぃにはお世話になりっぱなしだし、すげぇ感謝してる。だから受け取ってな?」
「う、うん…ありがとう。」
私はクリスマスプレゼントをケンから受け取った。
思ってもいなかった突然の出来事に、だんだんと嬉しさがこみ上げる。
と、同時に、なんで私は何も用意していなかったのだろう、と昨日までの自分が情けなくなる。
「本当にありがとう~、すごく嬉しい!」
「おうよ、家帰って開けてな。あ、趣味悪かったらごめん。」
そう言ってケンは「じゃ、本当に帰りますか」と立ち上がった。