タカラモノ~小さな恋物語~
「私 昔からこういう可愛い雑貨とかインテリア用品とか大好きで。だからシュクレ・メゾンが求人を出していること知ったときは、真っ先に電話しました。今となればどうして最初からこういうお店で働らかなかったのか後悔しているんですけど…。」
私はクスッと笑った。
大村さんも優しく微笑んだ。
「うん、百瀬さんはいかにも雑貨屋の店員さんっていう感じがするよ。雰囲気、合ってる。」
「本当ですか?ありがとうございます。」
あぁ、良かった。
大村さん、とってもいい人だ。
これなら2週間、何も苦にならずに働ける。
「あ、そうそう百瀬さ…」と、大村さんが何かを言いかけた時だった。
「ももてぃ。」
ケンがグイッと私の腕を引っ張ってきた。
「え…、何?」
「鈴音さんが呼んでる、新しい商品の配置の仕方とかで。キッチン売り場の方。」
「え、あ、うん…ちょ、ケン。手、痛い。」
ケンに腕を掴まれたまま、結構強い力で。
「あ、わりぃ。」
ぱっと手を放すケンを不思議に思いながらも、私は大村さんに一礼をして鈴音さんの方へと向かった。