タカラモノ~小さな恋物語~
「まぁ、飛鳥ちゃん。あんまり人を疑うこととかしなさそうだもんねぇ。純粋だから。」
「いや、そんなことないです…」
私は苦笑いをした。
「健吾くん、さっきも裏で大村悟に、一人で勝手にキレてたし。」
「え、ケンが??」
鈴音さんはクスッと笑った。
「ま、どっちにしても飛鳥ちゃん、用心ね。何かあったら言ってね。」
「へ、あ、はい…」
私はなんとなく返事をした。
鈴音さんは、頑張りますか!と言って、仕事に取り掛かる。
さっきの鈴音さんが言った意味がよく分からなかった。
何でケンが、大村さんに怒ってるんだろう?
もしかして、何か嫌なことされたのかな?
……え、パワハラってやつ?
だとしたら、怖い、怖すぎる。
「……。」
とにかく大村さんが、そんな人だとは思いたくもないけれど、一応気を付けておこう。
私は深呼吸をして、鈴音さんの仕事の手伝いに取り掛かった。