タカラモノ~小さな恋物語~
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「ふぅ…、こんな感じかな?」
あれから新商品も含んだ新しいキッチン用品の売り場が完成した。
やっぱり鈴音さんの仕事の手際の良さに感動した。
「かなり雰囲気変わりましたね。」
「うん、スペースもゆったりしているし、なんかいい感じ。」
私はそこまで活躍したわけではないけれど、達成感でいっぱいだった。
「じゃ、飛鳥ちゃん。今日はお先ね。」
「あ、はい。お疲れ様です。」
そうだ、今日は店長とお店閉める日だった。
ってことは、大村さんも一緒なのかな?
鈴音さんが、「手伝ってくれて、ありがとうね。お疲れ様。」と言ってその場を去るのと同時に、ケンがやって来た。
「おつかれ~」
「うん、おつかれさま。」
「今日の夜は店長たちと?」
「うん、そうみたいだね。」
「ふぅん、良かったな。ま、くれぐれも気を付けろよ。」
「え?」
「いや、何でもない。じゃ、またな。」
「う、うん。おつかれさま…」
なんだか今日のケンは、1日様子が変だったなぁ。
ケンの去っていく後姿を見てそう思った。
「……。」
それにしても、久々に店長と閉める日だぁ。
自然と顔が緩んでいる私がいた。