タカラモノ~小さな恋物語~



「もういいの、百瀬さん。あんまり謝らないで?別に百瀬さん、何も悪いことしてないでしょう?」


「大村さん…」


「ただ、俺もひとつ言ってもいいかな?」


「はい?」


「正直に言うと、百瀬さんに少し惹かれてた。」


「えっ…」


思ってもみなかった突然の告白に目が点になる。



「新しい仕事や、そのプレッシャーで本当に毎日いっぱいいっぱいだったんだ。けれどそんな時に、百瀬さんに会って、百瀬さんの笑顔見てたら…不思議と楽になった。」


「…そんな、私なんか」


「ううん、本当はこんなこと言ったらまた相川くんに怒られてしまいそうだけど。

俺のこと、支えて欲しいって、伝えようって思ってた。公私ともに、俺とのこと考えて欲しいって。」


「……。」


大村さんのまっすぐな目。


その目を見れば分かる、遊びでも軽く言ってるわけでもないって。


本気で、そうやって考えてくれてるんだ。


こんな何も取り柄のない私のこと。



でも、本気で向かい合ってくれてるからこそ、もう私も曖昧な返事はしてはいけない。


ちゃんと、ちゃんと答えなきゃ。




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