タカラモノ~小さな恋物語~
「大村さん、ありがとうございます。
大村さんは私にはもったいないくらい、とても素敵な人だと思います。テキパキ仕事も出来て、気配りが出来て…
けれど、ごめんなさい。
大村さんの気持ちには、お答え出来ないです。」
「そっか、ううん、いいの。
俺もずるいよね、言い逃げだもん。
本当はこんなこと言うつもりなかったんだけど、やっぱり百瀬さんと話しちゃうとね…。
ありがとう、俺もこれで次行ける。」
大村さんは、いつものように柔らかく笑った。
「あと、百瀬さん?」
「はい?」
「前にも店長さんにも言われてたと思うけど、自分を支えてくれるのって年齢関係ないからね、ほんとに。
歳下の男でもいいやついっぱいいるからね。」
「あ、はい。参考にします。」
いや、やっぱりその話を蒸し返されると恥ずかしい。
私はたじたじになって、笑った。
その時、応援のチャイムが鳴った。
「本当に、2週間ありがとうね。次の所でも頑張るよ。」
「はい、無理なさらず頑張って下さい。またこっちにも遊びに来て下さいね。」
私と大村さんはその場で握手をし、私はその場をあとにした。