美女と獅龍
兄貴と比べて平均的な俺の顔をわざわざ目に留める人はいない。
顔が良い、っていう面で 兄貴のこと羨ましいけど、あんなに 人に囲まれるんなら 今のままで良かったかも……。
「……先に行っていい⁇」
「入学式から、サボるのか⁇
母さんに、お前を見張っておくように言われてんだよ。」
母さん⁇お母さんからの信頼 無さすぎでしょ、俺。
「ちゃんと、大学まで進学するつもりだから、高校は卒業しないといけないし、停学とか留年とか中退とか、しないようにするよ。
安心して⁇兄貴と姉貴には迷惑かけないようにするから。」
そう言って、俺は
「麗夜‼︎」
と俺を制止するための兄貴(ファンに囲まれて 身動きが取れない)の声を無視して、俺は校門をくぐった。
「あっ、麗夜 やっときた。
ついてこい。」
蓮君⁉︎
俺等の先輩(⁇)の "琴野 蓮人" 。
獅龍(暴走族)の初代総長。
俺はそこの副総長をしている。
「付いてこい。」
スタスタと歩いていく蓮君を追いかけて、俺も校舎内へ入っていく。