美女と獅龍
私は屋上の中央あたりに寝転んだ。
長い間、使用されていないから 地面は到底 綺麗とは言えない。
けれど、いい。
ここで寝ていよう。
『瑞姫お嬢様、学校はどうされたんですか⁇
嫌なことがあったとしても、逃げていてはいけませんよ⁇』
分かってる……分かってるわよ、それくらい。
本当は私だって 友達が欲しい。
それでも、そうできないのは……私が我儘で頑固だから。
「アクア……」
トントンーと肩を叩かれたことで気がついた。今のは夢だったんだ。
アクア……、去年 1年間 施設で私のお世話をしてくれていた執事。
アクアには色々と迷惑かけてしまって、本当に申し訳なかったと今でも思う……と同時に私はアクアのことが好きなんだな……と思う。
……って、今 誰に肩 叩かれたの⁇
私は上半身を起こし、強い陽射しに眩む目を擦った。
「柊さん、授業をサボるの 良くないですよ⁇
気持ちよさそうに寝ているところを起こすのは、少し 気が引けましたがね。
加えて 屋上は立ち入り禁止、そして鍵もかかっていたはずですが、どうやって入ったんですか⁇」
……えっーと、確か 担任の先生。
「ドア、開いてましたよ⁇」
ドア、ぶっ潰してまで 屋上に入ったりしないよ。
「柊さんがドアを開けていようが開けていまいが、屋上には立ち入ること自体が禁止されています。
指導対象ですよ⁇」
……えー、面倒臭い。
指導、って何されるの⁇
今まで、されたことがないから 分からない。