美女と獅龍
トンー。
靴が地面に当たるような音がした。
目の前では何の変化もないから、振り返ってみると そこにはさっきまでいなかったはずの男の子。
「屋上のドア、開けたの俺です。
軽くドアノブを捻ったら 開いちゃって。
その人は、ドアが開いていなかったら 屋上には入って来てないと思います、だから この元凶は俺。
指導するなら、俺にしてもらえますか⁇
その人に申し訳ないので……」
そんな、わざわざ自分から 指導されにいく人なんて いるんだ。
しかも、私のことフォローしてくれたし……。
「誰ですか⁇学年とクラスと名前を教えてください。」
「1年12組、琴野麗夜です。」
「琴野君、ですね。
よく職員室で名前があがるので 名前は知っています。
今やっと、名前と人物が一致しました。
では、琴野君は僕について来てください。
柊さんは、教室に戻って 授業に出てください。
……机の片付けは僕がしましたから、綺麗なはずですよ。」
先生も気づいてるんだ、イジメのこと。
イジメっ子たちに 変なこと言っていなかったらいいんだけど。
下手に教師が出てくると、余計に話がこじれそうだし。
「分かりました。」
せっかく、庇ってくれたんだから ここは素直に先生の言うことを聞いておこう。