美女と獅龍
「麗夜、来てない⁇」
ドアの方から、その声が聞こえた瞬間
「うおっ、やべっ……」
っていって、麗夜君は顔を教室の奥の方へと向けた。
「あー、いるじゃん 麗夜。
こっちにおいで、ちょっと話があるから。」
顔 伏せてたのに、見つかっちゃったみたい。
「知り合い⁇」
「兄貴。」
そう答えてから、最後に1つ 唐揚げを頬張った。
「ごちそうさまでした。
来羅ちゃん、また明日も来ていい⁇」
「好きにして。」
"じゃあ、来るね。本当にありがとう" 急ぎ気味に麗夜君はそう言うと ドアの方へ走って 途中でまた折り返して帰ってきた。
「ねぇ、言い忘れてたことある。
俺 来羅ちゃんのこと 気になる。好きになりそう。」
ニコッと笑う麗夜君。
「私 好きな人いるから。
麗夜君の気持ちには答えられない。」
「それでも いいよ、俺がそうしたいだけなんだから。」
"それだけだから" と言って、再び 呼ばれた方へと向かった。
何の少女漫画展開なの、これは。
さっき言われた言葉を思い返して、1人で恥ずかしくなる。
アクアは、滅多に言ってくれなかった。
自分の感情を表に出さなかったし。
だから、ここまで感情を表に出す子は慣れない。
だけど、見ていて楽しい。
久しぶりに学校が楽しかった。