朋ちゃんと僕と、O中のみんな
コーズはそういう男子で、いかにも少年らしい感じが
今思うと好ましい、と思えるが
当時の僕は生意気だな~、という風に感じていた。
だって、僕の経験からの薦めで言っているのにな。
そういうコーズが僕はちょっと苦手だったし
朋ちゃんも、こんな性格を知っての恋路なのだろうか、とも思ったりした。
コーズは、ちょっと黙ってしまった僕に「じゃ、これやるよ」
と言って、チョコレート、金色の包み紙のスリムな
やはり彼らしく見栄えの良いそれを僕にくれて、走り去っていった。
僕はそのチョコレートを食べよう、とは思わなかった。
遠くで僕らをそれとなく見ていた朋ちゃんに手招きをした。
「なに?」
ぱたぱた、と幼な気に駆けて来る彼女は、秋の陽を浴びた
silhouetteがとても綺麗だった。
銀杏の黄色い落葉を、ちょっと、いたずらするみたいに
風が彼女の髪に纏わせたりして。
そんな彼女を見て僕は「Sister Golden Hair/America」のイントロを想起していた。
ああ、ギターを持ってきたかったな、と思いながら。
息弾ませて駆けて来た彼女、いつものようににこにこと僕の前へと。
「ほら、おみやげ」
僕は、さっきのチョコを。
「なに...これ?」
僕は、コーズに貰った、と言う事を告げた。
彼女は瞳輝かせてそのチョコを両手で、胸のところに抱きしめるような仕草をした。
ありがとう、と言って、嬉しいのか恥ずかしいのか
ぱたぱた、と、グループのひとり、ハツミのところへ走っていった。
そんなに.....
嬉しいのか。
まだ、朋ちゃんはコーズの事をあきらめていなかったから
それは当然なのだけど、でも、なんとなく.....
僕は、まあ、妹に恋人が出来たアニキってのはこんな気持ちかな、
なーんて事を思っていた。
なーんとなく、当時流行ってたTVドラマ
「気になる嫁さん」の石立鉄男を気取ってたようなトコも
多少はあった(笑)。
ケド。