朋ちゃんと僕と、O中のみんな

(今とは違って、この頃の男子女子、ってのは割と壁があった。
校内で男女ふたりきりで話し合ったりするようなことはなかったし、
大体行動は男女別、だった。
ちょっと幼い感じもするが....それが、異性感の現れなのだろう。)


そのとき、指さされた朋ちゃんは、イミわからずに
指差されて、「ね、なになに?」とにこにこと僕らを見た。

理科室はグループ別に別れてテーブルの周りに座るのだが、
隣のテーブルの朋ちゃんは、僕をそっちからじっと見た。

黒目がちの大きな瞳は、夏の陽射しのように煌いている。
そんな風な印象をこの時思った。
素直なまっすぐな黒い髪は、肩のところで緩やかにカールされて
内側に纏められていた。


後で知ったことだが、この頃の朋ちゃんは
男子からの人気はクラスでベスト5、に入るような存在だったらしい。

いつもギターを弾いていた僕は、朋ちゃんの存在が
ギターを弾くときに周りに集まってくるうちの一人、でしかなかった。

これが出会い。
後、ずっとずっと長くなるシークエンスの最初、だった。
< 2 / 84 >

この作品をシェア

pagetop