朋ちゃんと僕と、O中のみんな
でもまだ中2だったから、そんなふうにみんなフレンドリーだった。
ユウコもカズミも、お互いに友達だったから、ことさら
ライバルとみなす事もなかった。

そう、みんなが優しかったんだ。
今はそんな風に思う。

もちろん、ひとりになった時はやっぱり想いがつのる事はあると思う。
でもみんな、一緒の時はいつも明るくふざけていた。


僕と、トモちゃんの放課後のギタークラブも続いた。
いつもの、3階から屋上に上る階段を登りきった、屋上への鉄扉のそばにある
椅子で、ふたりでギターを弾いて、歌った。
トモちゃんは手がやわらかくて弦を押さえるのが辛いって言うから
僕は、コンパウンドゲージの弦に張り替えて、テンションを弱めてあげたら
彼女はとても喜んだ。

そんな小さな事でも、喜ばれるってのは良い感じだ、と思った。


だから、あの、コーズの事で悩んでいたトモちゃんに
もう、戻ってほしくなかった。


その事は忘れてほしい、と思った。

でも、そんなことは言えないし、僕が言う理由もなかった。
(と、この時は思ってたんだけど...)


この頃は僕も気分的に穏やかだったから、フォークの歌もよく歌った。


トモちゃんは、タクローの他に陽水も好きで、僕も陽水だったら
サウンド的にも愉しいな、と思って

ふたりのレパートリーに、陽水の曲は増えて言った。


トモちゃんのお気に入りはこの頃「帰れない二人」だった。

ギター2台で合奏するのには適当なアレンジなのも良かったし
夢があって良い、って喜んでも居た。



でも僕は、「つめたい部屋の世界地図」を歌った後
「stairway to heaven/Led Zeppelin」を演奏したりして(笑)

相変わらずバカをやっていたのだが...


とりあえず、まあ、平穏なはず...

だったのだが。


そんなある日、突然、昼飯を食っていた僕らの耳に
救急車のサイレンが聞こえて来た。


皆が騒いでいたので、僕は何気なく窓を見ると
校庭の中に救急車が突っ込んできた!

体育の斎藤先生が、手を振って誘導しているのが見えた...
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