朋ちゃんと僕と、Ｏ中のみんな

クボが飛び降りてしまった、と言うニュースは
学校中に瞬く間に広まった。

屋上から飛び降りたのだが、運良く柔らかい土の上に尻から落ちたので
大きな怪我もなく、それは不幸中の幸いだった。



２年Ｆ組のみんなも、別のクラスのヤツの事だとは言え
みな、良かった、良かった、と言っていた。

ぼくらのグループのみんなも。

クボがどうして飛び降りたか？なんて
詮索するヤツラも居たが、僕らはそういうことはしなかった。
だって、毎日いろんな事があって忙しいし、楽しい事だけをしていたかったから。

今思うと幼いな、と思うけれど
それだって　今だからそう思うんで
１０年後の僕が　今の僕を見たらきっと、同じに思うだろう...


クボの入っていた陸上部の部長は、ＥＣってあだ名のヤツ、Ｆ組のクラスメートだった。
親父が小さな会社を経営しているらしく、なんとなく親分っぽい振る舞いで
陸上部長をしていたのも、そんな理由からだった。

なんとなくやる気満々なところが、先生たちには好かれていたが
生徒の評価、特に女の子の人気は半々、と言ったところだった。

まあ、どこの学校でも生徒会長とか、運動部の部長になるヤツってのは
だいたいそんなもんだと思う。


だいたい、パワーが好きなタイプの女の子には好まれるけれど....


このＥＣが、なーんとなく女の子の前で目立ちたがってるな、と
皆はそんな風に噂してて、僕はその噂をあんまり快く思っていなかった。

なぜか？って言われると、僕も似たように言われてたから（笑）


だからと言って、ＥＣに共感していた訳でもなかった。
それはやっぱり、少年ゆえの自負があったから、だと思う。