朋ちゃんと僕と、O中のみんな
ハツミは「どうしたのかな、EC君は」と言い
トモちゃんも..「うーん...なんだろうね」とちょい,迷惑な感じ。
僕は、まあECに協力するとは言わなかった。
いや、言えなかった。
朋ちゃんの好きな相手はコーズなんだから、邪魔するなとは言えない。
第一、それは朋ちゃんと僕との秘密なんだから。
それでもお構いなしに接近するECに閉口した朋ちゃんは
僕と、造幣局の裏で一緒になった時に、「ねえ..」を助けを求めてきた。
僕は、ECの意思を伝えた。最初からECの負けは見えていたのだろうことは
彼女の顔色を見れば分かる。
それにおかまいなしに接近する無神経さがECらしいし、いかにも社長の息子らしい。(笑)
朋ちゃんは「そういうのは嫌。」と言った。
僕をじっと見るので、「うん、分かった。彼には諦めるようにそう言うよ。
僕がなんとかする」と朋ちゃんに言うと、彼女は明るい顔色に戻って
「ありがと!」と、そう言い,僕の学帽を取って自分で被った。
なぜそうしたのか、僕には分からなかったが...
雨が降っている造幣局の桜並木、有名な花見の名所らしい。
けれど,今は葉っぱしかないその並木の下を、僕らは
雨の雫をさけながら走った。
どうしてそうしたのか、良くはわからない。
僕は、この時も「Singin' in the rain」の、あの街角で踊る映像と
歌を思い浮かべていた。
そして、朋ちゃんをリトルホンダに乗せて
写真を撮ってみたいな、なんて思ったりもしてた