朋ちゃんと僕と、O中のみんな
小雨ぱらつく中、僕らは桜並木の下を駆け抜けて
停まっている観光バスへと辿り着いた。


辿り着いたらいつも雨降り(モップス)なーんて
ふざけて言ったら、朋ちゃんは、あーあの曲、って
笑って言った。
でも、アタシは猫の雪、とか...
春うらら、もスキよ、なーんて(笑)

春うらら、ってのはちょっとHな歌詞が人気だった
当時のフォークだったが、僕らはそんな歌も好んで歌った。

朋ちゃんも、もともとスキなのか(笑)
あのねのねの「つくばねの歌」とか
「赤とんぼの歌」なんかを僕が歌うと
いやらし~、とか言いながら喜んでいる。

他のみんな、クラスのみんな、主に女の子は
こういう歌が大好きだった。


バスの中は静か、誰~も居ない。
雨がぱらぱら降ってきて、皆、造幣局で雨宿りをしてる。


朋ちゃんは、まだ僕の学帽をかぶったままで
くだらない笑い話に相槌を打ったり、きゃはは、と笑ったり。


「あのね、こないだカオルがね...。」

朋ちゃんが言う。

薫ってのは、E組の子で
色白で小柄、でもギターが大好きな
僕と同じ軽音楽に居る子だ。

薫は、深夜放送が好きで
で、あのねのねのオールナイトを聞いていて
その話をよく、僕等にしていて...

この日の話は、こんな感じ。



男はな、インキンって言うやろ?ほな、女はどないいわんね?


女はな......


なんや?


女は、(と、原田伸郎、ギターを取り出す)
♪~いーんまんはやまなか、イン万は川~♪(笑)
(今は山中、今は浜~、今は鉄橋渡るぞと~..の節。)。





アホナ!

....って、清水国明がドついてね..




って、朋ちゃんはそんな話を平気な顔でするので
僕はそれがとってもおかしくて、げらげら笑った。



朋ちゃんは、そんな僕を見て笑うんだけど。

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