朋ちゃんと僕と、O中のみんな
..でも、朋ちゃんの雰囲気はどこかいつもと違ってた。

屋上へ続く階段を登って来て、僕が居たドアのそば、
そこに僕は椅子を持ってきてギターを弾いていたのだけど

僕の傍に来て ギターの弦を見ていた(ようだった)。


なんか、話し辛そうだったし、誰かに聞かれたらマズイことだろうな、これは。


そう思って、僕はギターのネックを右手で握り、左手で
重い鉄扉を開け、屋上へ出た。



薄暗い踊り場から 屋上へ出ると、目がくじけそうな位明るかった。

もう夕方に近く、おひさまの光はオレンジ色に近い時間だ、と言うのに。


....いつもは。

おひさまみたいな朋ちゃんは、今、ゆうぐれみたいに...




僕はそのことが気になった。

聞きづらかったけど、聞いてみた。



「どうか、したの?」





朋ちゃんは、俯いて風に吹かれていた。
少し、髪を伸ばしてるの、と、こないだ言ってたように
髪は、もう少しで肩のところまで来るところ。


その髪が、オレンジ色の光と風に誘われて ふわふわ、と
あそんでいるみたいで、

顔色がすぐれないのに、その対比がなんだかちぐはぐなくらいに綺麗だった。



「.......うん....。」



彼女は、今日、別のひとみたいに口が重かった。




「なんでもいいよ?僕だったら。」


僕は、右手に持っていたヤマハFG-122のストラップを右肩に掛けて
努めて軽く、そう答えた。


そのほうが、話しやすいと思ったから。朋ちゃんが。




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