朋ちゃんと僕と、O中のみんな

で、僕らは屋上でしばらく風に吹かれていた。
何か話さなくては、と言うようなぎこちない友達じゃなかったから、
ただ、黙って風に吹かれていた。

そのうち下校時間が来てしまったので、僕は朋ちゃんを促し
重い鉄扉を開けて、2階の2年F組の教室へと向かった。

僕はもちろんヤマハFG-122をソフトケースにしまって。

朋ちゃんは吹奏楽部の部室に一旦戻ってから、帰ると言った。


この頃の中学生は本当にシャイだったから、二人きりで下校、なんて
事はまあ、有り得なかった。

けれども僕らは、いつもグループで一緒だったから
特に気に留めるでもなく、ふたり、途中まで一緒にかえろ、と...

すこし元気になったともチャンは、パタパタ、と上履きを鳴らして
下駄箱のところに駆け下りてきた。

学校の門は開いたままだったし、もう、運動部の連中もみんな帰った後だった。

僕らは同じクラスだったから、出席番号順に並んでる蓋のない下駄箱から
スニーカーを取り出して。
僕は青のハイカット、彼女は白のローカットだった。
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