桜の木の下で
遠くからは狼の獰猛な雄叫びが聞こえる。
枝や障害物を避けつつ、私は必死に逃げ回り続けた。

でも、このままだといつか追い付かれる…!
一体どうすれば……!!

息が、苦しい。
足が限界に達したようで、足取りが確実に遅くなってきた。

その時。
足を挫(くじ)き、その場に倒れ込んでしまう。
直ぐに起き上がろうにも、体が思うように動かない。

「どうしよう、このままじゃ……追い付かれる」

狼の足音が近付いてきた。
今か今かと言わんばかりの様子で、こっちに向かってくる。
血の気が一気に引く。

殺されるっ……!!
近付く死に思わず瞼を閉じるーーーー。
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