理想的恋愛
一話
今日もカッコいいな。
相川梓は愛しの彼の顔を眺める。
もうこの状況は何回目なのだろう・・
おそらく1000回以上だろう。
それぐらい梓は彼の事が大好きだった。
毎日同じ顔と声を確かめる。
彼の事なら何でも知ってる、
誕生日も性格もいつどんな言葉を
発したのかも・・・・
彼との出会いは2年前の中二の頃だった
彼は私の中の常識を変えた。
画面の中で話す
その彼は私の胸をつかんだ
そう、彼女は画面の中、
つまりアニメキャラに恋をしたのだ。
それも重症なぐらい。
私にとってアニメは友達に勧められ少し
ずつ見ていた感じだった。趣味のない
私にはだいぶ暇つぶしができ
好印象だった。
だからそれもその暇つぶしだった。
カッコいいopから出てきたのは
黒を基調とし、ゼノアという名前
のもので剣はシルバーに輝いていた。
顔もなかなかでアニメの中では女に
言い寄られていたりもしていた。
しかし彼女の目を奪ったのは戦闘シーン
だった。身軽な身のこなしに仲間を
守る優しさ。強い意志は迷うことさえ
なかった。そんな彼は確かに人気だろう
しかしそれは二次元だけ。三次元には
勝てない。所詮アニメだ、
しかし彼女はそれ、ゼノアを盲信的に
愛情的に全力ですべてをささげた。
彼のためだったら美をつくし、体力
をつけ、バイトも頑張った。
ブルーレイやグッズを買うことで少し
彼に近づけたような気分がするからだ。
それから彼女の叶いもしない恋の戦い
が始まったのだ。