Cry for the moon
リュウトはタバコに火をつけながら、黙ってトモキの様子をうかがっている。

「ああ…ごめん…。今、付き合ってる子がいるから…。うん…。」

申し訳なさそうに電話の相手に謝るトモキの声を聞きながら、リュウトはタバコの煙を吐き出した。

(トモのヤツ…彼女できたんだ…。)

トモキから何も聞かされていなかったリュウトは、電話を切ったトモキを見ながらニヤニヤしている。

「なんだよ、またコクられてんのか。相変わらずモテモテだな。」

トモキは照れ臭そうにスマホをテーブルの上に置いた。

「なんか同じ学校の子らしいけど…あんまりよく知らない子だったし。」
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