Cry for the moon
ライブに向けて、バンドの練習も順調に進んでいたが、リュウトの曲の歌詞はまだ完成していなかった。

「どうすっかな…。」

仕事を終えて部屋に戻ったリュウトは、着替えを済ませタバコに火をつける。

何度も歌詞をつけようと考えてみるものの、自分らしくもない甘い言葉ばかりが並ぶ事に嫌気がさして、なかなか進まない。

(思いきって、まったく違う視点から書いてみるか…。)

たとえば、女性の目線で、終わった恋の歌を書くと言うのはどうだろう?

自分に重ね合わせるからうまくいかないのかもと思い、あれこれ考えを巡らせる。

(やってみるかな…。)

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