Cry for the moon
「宮原くんもそうなの?」

「さぁな。」

「宮原くんって…私よりずっと大人みたい。」

「…そうでもねぇ。」

彼女は缶コーヒーを持つ手元をじっと見つめながら、ポツリと呟いた。

「ねぇ、宮原くん…大人になるって、難しいね…。」

「そうだな…。」

それからしばらくの間、二人で黙ってコーヒーを飲んだ。

何を思っているのか、彼女は目の前に広がる懐かしい風景を通り越して、もっと遠くを見つめているようだった。


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