Cry for the moon
「誉め言葉だよ。」

彼女は笑ってそう言うと、マンションより手前の道端で立ち止まった。

その角を曲がってほんの少し行けば、マンションの前に到着する。

「送ってくれてありがとう。ここで、大丈夫だから。」


“あなたは彼氏じゃない”


そう言って線を引かれたようで、リュウトの胸がズキンと痛む。

「そうか。じゃあ、またな。」

リュウトは右手をあげて、彼女に背を向けた。

(彼氏じゃない事くらい…そんな事…このオレが一番よくわかってるってんだよ…。)




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