Cry for the moon
彼女はリュウトの部屋を見渡し、ギターやベースが立て掛けてある場所をじっと見ている。

「そう言えば…宮原くん、小学校の頃からやってたね。……ベースだっけ?」

「ああ。5年からな。」

リュウトはタバコに火をつけ煙を吐き出すと、今、この部屋に彼女がいる事を不思議に思う。

(なんか成り行きで部屋に入れちまったけど…まぁ…深い意味はねぇし…。)

どちらにしても、彼女から預かった本を取りに戻る予定だったのだから、こんな事なんでもないと、自分に言い聞かせる。

リュウトは少し居心地の悪さを感じながらコーヒーを飲んだ。

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