Cry for the moon
リュウトは、また彼氏のキスマークでもついているんじゃないかと、髪を上げたアユミの首筋を、思わずじっと見てしまった。

「……もうついてないよ、何も…。」

鏡越しにリュウトの様子を見ていたアユミが、苦笑いをする。

「そうか…。」

リュウトがバツの悪そうな顔で目をそらす。

リュウトがハサミを動かしてアユミの髪を切っている間、二人は何を話すでもなく、ただ黙っていた。


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