Cry for the moon
アユミがバッグから財布を出そうとすると、リュウトはそれを手で制した。

「金はいい。約束だったからな。」

「…ありがとう。」

「……じゃあな。」

リュウトはアユミに背を向けたままで、鏡越しにその背中を見送った。

ゆっくりとドアが閉まり、鏡越しの彼女の姿が見えなくなると、リュウトはため息をついた。

「終わったな…。」

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