Cry for the moon
しばらくしてカフェを出た二人は、また手を繋いで他愛もないおしゃべりをしながら歩いた。

一人ならなんでもない事も、アユミと一緒だと嬉しくて楽しくて仕方がない。

見慣れたはずの街の景色さえ、アユミがそこにいるだけで鮮やかに色付いて、キラキラと輝いて見える。

(…人を好きになるって…こういう事なんだな…。)

トモキは胸の奥が温かくなるのを感じながら、アユミの華奢な手を握る手に力を込めた。

「ん…?どうかした?」

「いや…その…幸せだなぁって…。」

トモキが照れながらそう言うと、アユミも恥ずかしそうに頬を染めてうなずいた。

< 77 / 512 >

この作品をシェア

pagetop