【短編】屋上とスイーツ
次の日〜
理緒は翼に言われた通り、同じ時間に屋上にやって来た。
約束のクッキーを持って。
ガチャ
「おせえ」
「せ、先輩…!」
屋上のドアを開けると、不機嫌オーラ満開の翼が腕を組んでいた。
「もちろん、クッキーは作ってきたんだろうなァ?」
「つ、作ってきましたよ!ついでにタルトm「何っ!?お前それを早く言えよ!早く食おうぜ」
先程とはうってかわって子供のようにはしゃぐ翼に理緒も笑顔を浮かべた。
それから、毎日理緒は翼にお菓子を作るようになっていた。
そんな、ある日の放課後〜
「おい、理緒。帰るぞ」
聞く覚えのある低い声。教室のドアを振り返ると、一際目立つ茶髪頭がひとつ。騒がしかった教室が静まり返り、ある男子は怯え、ある女子は翼の登場に黄色い声を上げた。恐れられているとはいえ、やはりこの容姿。近づく事は決してなくても、モテないわけではないのだ。
「翼先輩!!」
理緒は手を引かれて教室を後にした。
その後の教室が2人の関係は何なのか、なんて騒然となったのは言うまでもない。
2人は帰り道を無言で歩いていた。
「先輩」
「なあ、」
沈黙にいたたまれなくなった2人は一斉に口を開いた。
「…どうした?」
「あ、いえ…先輩こそ」
「俺は、」
ポツポツ
その途端、にわか雨が降りだした。
「雨…?」
「ちっ、走るぞ!」
翼は理緒の手をとって走り出す。
「(…心臓がうるさいよ)」
雨に濡れながら、走る理緒の顔は心なしか赤かった。
理緒は翼に言われた通り、同じ時間に屋上にやって来た。
約束のクッキーを持って。
ガチャ
「おせえ」
「せ、先輩…!」
屋上のドアを開けると、不機嫌オーラ満開の翼が腕を組んでいた。
「もちろん、クッキーは作ってきたんだろうなァ?」
「つ、作ってきましたよ!ついでにタルトm「何っ!?お前それを早く言えよ!早く食おうぜ」
先程とはうってかわって子供のようにはしゃぐ翼に理緒も笑顔を浮かべた。
それから、毎日理緒は翼にお菓子を作るようになっていた。
そんな、ある日の放課後〜
「おい、理緒。帰るぞ」
聞く覚えのある低い声。教室のドアを振り返ると、一際目立つ茶髪頭がひとつ。騒がしかった教室が静まり返り、ある男子は怯え、ある女子は翼の登場に黄色い声を上げた。恐れられているとはいえ、やはりこの容姿。近づく事は決してなくても、モテないわけではないのだ。
「翼先輩!!」
理緒は手を引かれて教室を後にした。
その後の教室が2人の関係は何なのか、なんて騒然となったのは言うまでもない。
2人は帰り道を無言で歩いていた。
「先輩」
「なあ、」
沈黙にいたたまれなくなった2人は一斉に口を開いた。
「…どうした?」
「あ、いえ…先輩こそ」
「俺は、」
ポツポツ
その途端、にわか雨が降りだした。
「雨…?」
「ちっ、走るぞ!」
翼は理緒の手をとって走り出す。
「(…心臓がうるさいよ)」
雨に濡れながら、走る理緒の顔は心なしか赤かった。