夏いっっっ!!!
「そういうことじゃないんだよ」
ケンちゃんは怒鳴った。

「そりゃ~カホのこと100%知っているわけじゃないよ。
 カホだって、俺のこと全部知っているわけじゃない。
 二人がもっと分かり合えるためなら俺は何でもするって言っているんだよ」

ケンちゃんが少々怒りながら言った。

「…ケンちゃん」

カホにとってこんなこと始めてだった。
ケンちゃんのことをもっと知りたいと正直に思えたカホであった。

「じゃぁ、もっとケンちゃんのこと教えて」

ケンちゃんにくっつくカホ。
抱きしめ合う二人。

「良かったな、ケンちゃん」

ちょちょぎれる泪を剛は懸命に抑える。

一つの恋がうまくいったのだ。

それが剛の夏の始まりだった。 



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