夏いっっっ!!!
「…子供をおいて、逃げられてしまいました」
「ヒデー」
同情する剛、悲しい笑顔の桐山。
「でも…」
「桐山さ~ん」
桐山が何か言いかけた時、3歳くらいの2つ結びの黄色い水着の女の子が桐山の所に走ってきた。
「夏希!!良かった」
本当に安心していた桐山。
小さい子が『桐山さん』と呼んでいた。
この二人は親子なのだ。
「良かったですね、桐山さん」
「ハイ、有り難うございます。夏目くん」
夏希ちゃんを抱きかかえる桐山。
「夏目くん?一緒だね、夏希と夏目!!」
無邪気な女の子。
「あはは、一緒だね」
ぐーぐーぐー
三人のお腹が一斉に鳴る。
「お腹すいちゃった」
「ねぇお腹すいちゃったね」
「あ、お店来てくださいよ。おごりますよ」
夏希ちゃんをおろし、二人は手をつないだ。
「え?悪いですよ。捜していただいた上にごちそうになるなんて出来ませんよ」
「え~お腹すいちゃったよ、桐山さん」
桐山さんの海パンを引っぱる夏希ちゃん。
「じゃぁおごりません。
でも俺の店で食べていってくださいよ。
焼きそばとか作りますよ」
「夏希、焼きそば好き~」
か、可愛い、プリテーな笑顔。