夏いっっっ!!!
桐山は夏希ちゃんをだっこして少し海から離れた次生宅へ。
「大変じゃないですか?子育てって」
「そうですね。この子には父親って認めてもらってないですし、
でも、幸せですよ。
この子は人の気持ちを分かろうとしてくれる。
いい子です。この子の性格に頼っちゃってて。
いろいろ我慢させちゃってます。
もう少し父親としてやっていきたいとは思ってはいるんですけどね」
血のつながっていない子を護ろうとする若い父親。
剛がその立場に立ったら、子供を愛そうと見つめることができるだろうか?
「俺には出来ませんよ。そんなの」
「私にもできませんよ、時々思ってしまいます。
この子を捨ててしまおうと、そしたら楽だろうなって…
私は時々そんな最悪なことをふっと思ってしまう最悪な奴なんです」
「パパ…」
桐山さんの背中で寝言を言う夏希ちゃん。
夏希ちゃんの目には泪が流れる。
それを見つめる桐山。
「やっぱり本物がいいんでしょうね」
悲しい二人の関係。
剛は見ているしかなかった。
だだっ広い次生宅。
剛は疲れきって眠ってしまった。