ふわふわりと風船
僕だけのものにはならない。
自分を商品にした彼女は、僕の趣味に合わせてミステリアスな女の子を演じているにすぎない。
嫌味なくらい完璧な作り笑いを浮かべ、彼女は僕に別れを告げる。
笑わないで、言葉もいらない。
そういった僕の願いを忠実に叶えて演じる役者のような彼女の完璧さが憎い。
罪悪感の欠片も見られない軽い足取りも、風に靡く僕の指定した黒いスカートも、これから他の誰かのモノになるのかと思うと憎くてにくくて。