ふわふわりと風船
楓はとてもいい子で、クズの僕には勿体無い出来た女の子だ。
優しくて、可愛くて、可憐で、マシュマロのようにふわふわで、捕まえることのできない蜃気楼や幻のように僕の掌から零れ落ちるような。
風船のようにふわふわと、僕の横に浮く軽くて曖昧な最愛の彼女を、抱きしめれば潰して割ってしまいそうだから、僕は優しくやさしく撫でるだけ。
気持ちを伝えれば潰れてしまいそうな弱々しい彼女の細腕を絡め、僕らは掌を合わせてもたれあう。
浅い呼吸音を耳に、それだけを感じていたいと思う。