からっぽ。
だって、そんなこと、できっこないもの。



私だって、何度も決意した。


何度もあなたのアドレスを呼び出しては、削除ボタンを押した。


けれど


「本当に削除しますか?」


その問いかけを前にすると、決意は簡単に揺らいでしまった。


弱い私は結局「NO」のボタンを押して。



変われないまま。



アドレスを消したら、あなたとの連絡手段はなくなる。


きっとこの想いを、断ち切れる。


分かっているのに、できない。



手が震える。



きっとどこかで期待してるんだ。



「もう一度、やり直そう」って。



幸せを呼び戻す、あなたの言葉。



「そんなの、来ないよ」って。



頭では分かってるのに。



「もしかしたら」って。



未来を信じてみるんだ。


2人の幸せな未来。



「未練があるんだよ」



見かねた友達は私に言う。



「まだ、あんたはあいつが好きなんだよ」



その言葉はすんなりと納得できた。


だって、今も私はあなたを見てる。


探してる。


お昼の購買、教室移動、放課後の帰り道。


どこかにあなたがいるんじゃないか、と。



見つけたところで、話しかける勇気もないくせに。



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