MAHOU屋
心の中で噂をしていたからか、おやつタイムを見計らったようにデビルがやってきた。
デビルがどうしてデビルと呼ばれるのかと言うと、チヒロが図書室から借りてきた本に出てくるキャラクターにそっくりだからだ。
その本は『おおかみこどものゆうびんはいたつ』というもので、あて先のない手紙専門に届けていたおじいさんが腰を痛めてしまい、代わりに孫のようにこっそり可愛がっていた狼男の子供が配達するという話だ。
その狼男の子供を悪魔が何度も邪魔をする。
ぎざぎざ頭で、まっくろいヤツ。
バイキンマンをちょっとだけ怖くした感じ。
レインさまは本名に因んで「レイン」と名づけているし、なんだか英語のほうがカッコイイ気がして、悪魔にそっくりな男(本名は「貝崎シュンペイ」と言うらしい)を「デビル」とチヒロは呼ぶことにした。


「今日は一通な。しかもダイレクトメールだし」


デビルは一応、本物の郵便屋さんだ。
〒マークのついた赤いバイクに乗ってやってくる。
デビルはとうさまの同級生で、レインさまよりひとつ年上だ。
それなのに図々しく「おやつなに」とソラのように聞いている。
デビルは郵便の仕事があってもなくても、決まってレインさまにおやつをねだりにくる。
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