MAHOU屋
「チヒロとソラの食べ残しでよかったらどうぞ」


ソラは咄嗟にクッキーの置かれているお皿を腕で隠した。


「可愛げのない子供め」


デビルは舌打ちをしながらレインさまに手紙を渡すと、ソラのぷにぷにの腕とほっぺを指でつっついて遊んでいる。


「やだーあげないよー」


ソラが唇を尖らせたので、チヒロはしょうがなくデビルに皿を差し出す。


「チヒロ、よい子!」


そう言って獣みたいにデビルはチヒロに抱きついた。
まったく嬉しくない。


「ふふーん、お前もチヒロみたいに大人になれよ」


勝ち誇ったような顔をするデビルの精神年齢はソラと同じくらいだと思う。
ソラも「なにおぅ!」とその挑発に乗っている。
レインさまは何も見ていないとでも言うように、ショーケースにもたれかかって本を読み始めていた。


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