MAHOU屋
今日はいつもより遅く起きた。
雨戸が開けられていて、カーテンから太陽の光がめいいっぱい入っている。
レインさまの姿は既になく、布団もなかった。
枕と逆の位置に頭があるソラを起こして立ち上がらせ、自分の分とソラの分の布団を畳んで置いておく。
二段に分かれている押入れの、上段が布団置き場だ。
チヒロはそこから引っ張り出すようにして布団を敷くことはできるけれど、片付けることができない。
レインさまの身体は細枝のようにぽっきり折れてしまいそうなほど細いから、布団の上げ下ろしも大変に違いない。
あとどのくらい身長が伸びれば代わってあげられるのだろう。


ソラは寝起きが誰よりも悪かった。
ほかの人と比べたことがないから確かな証拠はないけれど、少なくともデビルよりも悪いことは間違いない。
ソラは立ったままでも寝ていられる。
ある意味すごいなぁと感心しながら、タンスからチヒロは着替えを取り出す。
平日は幼稚園があって指定のジャージを着せればいいだけだから楽だけれど、今日は私服に着替えさせなければならない。
「このふくはすかーとにあわない」とか「このくつしたおきにーりだからとっておきのときにはくの」とか、何かと注文が多いソラは小さくてもちゃんとした女の子だ。
今日は天気が良さそうだから短めのスカートで大丈夫かなと思いながらソラに着せ、腰まである長い髪をとかす。
そうしてから自分も着替えて、手を繋いで下に下りる。
< 26 / 74 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop