MAHOU屋
リビングではコーヒーを飲みながら本を読んでいるレインさまがいた。
今日は店の定休日だから、レインさまの行動もゆっくりしている。
おはようと挨拶を交わしてから、レインさまはキッチンに向かった。


レインさまがテーブルに残していった本はチヒロが昨日借りてきた児童書と同じだった。
同じ本だけれど、まったくの別物。
チヒロは図書室で借りて、レインさまのはばあさまの書斎にあったもの。


「今日、水泳キャップ買う？」


レインさまは木製のトレーからテーブルに朝ごはんを置いていく。
野菜サラダ、オムレツ、トースト、ソラの大好きなイチゴジャムがかかっているヨーグルト。


「進級してからで大丈夫だよ」
「キツイって言ってたけど？」
「今月合格するように頑張る」


今日店が定休日なのは、チヒロのスイミングの日だからだ。
年長のときのプールで顔が水につけられなかったチヒロを見かねたデビルが「小学生になったら困る」とレインさまに言って、習うことになった。
ソラも水曜日に習い事をしていて、その日も同じように定休日になっている。
ソラは転ぶとき、どうしても手が出なくて、顔から地面に落ち傷を作ってしまう。
やはり同じように見かねたデビルが「幼稚園に通うようになったら困る」と体操教室に行くことになった。
デビルはときどきレインさまの都合がつかないとき、父親面をして送り迎えをしてくれる。
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