MAHOU屋
じいさまが亡くなったあともとうさまは頑なにドアを開けなかった。
その板の封を破ったのはレインさまで、一階部分のリフォームが終わったあとすぐのことだった。
ドアの内側にいるレインさまを見つけたとき、チヒロは廊下でずっと立ちすくんでいた。
その背中をそっとデビルが守ってくれている。
そうでなかったら、腰を抜かしていたかもしれない。
本能、というものがあるのだとしたら、危険というオーラを身体が読み取ったということかもしれない。
『レインは魔女に魅入られているから平気なんだよ』
一体どういう意味なんだろう。
それをデビルに訊こうとしても、身体も声も言うことをきかなくてがたがた震える。
それから三年近く経ったけれど、未だに名前のつかない恐怖を身体が覚えている。
誰かが自分より先にいなくなってしまう恐怖とは違っていて、怖い話を読んだり聞いたり、テレビで見たりするような感じに似ているかもしれない。
「にぃに、まだぁ? もうたべちゃったよ」
はやくはやくとソラがジュースを催促する。
テーブルに戻ると、チヒロの皿の上にクッキーがひとつもなかった。
睨むような視線をわざと送ると、てへへーとソラは頭を掻いていた。
クッキーをあげる以前に、横取りされてしまったようだ。
その板の封を破ったのはレインさまで、一階部分のリフォームが終わったあとすぐのことだった。
ドアの内側にいるレインさまを見つけたとき、チヒロは廊下でずっと立ちすくんでいた。
その背中をそっとデビルが守ってくれている。
そうでなかったら、腰を抜かしていたかもしれない。
本能、というものがあるのだとしたら、危険というオーラを身体が読み取ったということかもしれない。
『レインは魔女に魅入られているから平気なんだよ』
一体どういう意味なんだろう。
それをデビルに訊こうとしても、身体も声も言うことをきかなくてがたがた震える。
それから三年近く経ったけれど、未だに名前のつかない恐怖を身体が覚えている。
誰かが自分より先にいなくなってしまう恐怖とは違っていて、怖い話を読んだり聞いたり、テレビで見たりするような感じに似ているかもしれない。
「にぃに、まだぁ? もうたべちゃったよ」
はやくはやくとソラがジュースを催促する。
テーブルに戻ると、チヒロの皿の上にクッキーがひとつもなかった。
睨むような視線をわざと送ると、てへへーとソラは頭を掻いていた。
クッキーをあげる以前に、横取りされてしまったようだ。