MAHOU屋
出るかと言って、デビルは踵を返す。
ドアの外に出ても身体の震えが止まらず額に汗が貼り付く。
けれどアトリエに戻るとすっかりそれが収まった。


「あの部屋不思議だろ?」
「うん」
「虹歩はあの部屋がある限り、ここにいる約束をばーさんとしたんだよ」
「どうして?」
「虹歩が事故に遭ったことは知ってるよな? そのときもうお前のばーさん亡くなってたんだけど、そのばーさんが作った、生きていたときの最期のクッキーを食べたのが虹歩だったんだ。虹歩が死にそうになったとき夢に出てきてそのクッキーに魔法をかけたことを伝えたんだって。そこで選択肢を二つ上げて、魔女の力を受け継いで生きるか、このまま死ぬかっていう。それで生きる選択をして、時が来るまで修行をしていたんだよ」


世間様には海外で放浪って思われていたみたいだけどなとデビルは笑った。


「あの正体不明な恐怖を閉じ込めておけるの、魔女だけだから。部屋が壊れたら、世界もあの恐怖で溢れちゃうらしいよ?」


本当かどうかは、しらねえけどなとデビルは付け足した。
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