MAHOU屋
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家に帰ると、母親が「荷物」と言って、ホールケーキが入るような大きさの箱を渡してきた。
箱はなんの変哲もない茶色のもので、左隅の方に小さく<MAHOU屋>と書かれている。
母の話によるとこれを持ってきたのは、男性なのか女性なのかわからない人で、園服を着た幼児をおんぶして渡したのだという。
部屋に戻り箱を開けてみると、入っていたのは先ほど食べたバニラクッキーと同じもので、それと一緒に萌黄色の封筒に入った手紙が入っていた。
それにコピー用紙に印字されているメモが添えられている。



「貴殿からご依頼主様に渡してください。賞味期限が本日より三日後となりますので、お早めに。尚、ご依頼主様に報酬を貰ってきてください。報酬はご依頼主さまの<涙>です。同梱の小瓶にお入れください」



確認すると箱の底に親指くらいの水色の小瓶が入っていた。
容量いっぱいに入れるには大変だろうと思っていたら、「一粒二粒で良い」と注釈が入っていた。


メモはまだ言葉が続いている。



「バニラクッキー作成の際、スキムミルクを使用しました。本来なら粉ミルクを使用したいところですが、手持ちがなかったため代用いたしました。ご依頼主様の恋は<始まったばかり>です。どうか貴殿のお力で成長させてあげてください。」
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