デスサイズ
Episode5 連鎖
あるアパートの一室――
「あ、あん……」
ベッドの上で、2人の男女が真っ昼間から致している。
互いに一糸纏わぬ産まれた時の姿で、激しく、情熱的に愛しあっていた。
「ハ、ア……今日は、これくらいにしておくわ。明日の仕事に響くとマズイし」
真っ赤な顔をした女が、荒い呼吸をしながら言うと、馬乗りになっていた男は残念そうな表情をしながら離れていった。
「ごめんね」
「いやいや、僕の方こそゴメンね。押しかけちゃって」
汗で濡れた金色の前髪をかきあげながら、男は頭を下げた。
ベッドから降りた女はタオルケットで身体を包み、棚の中から取り出したハンドタオルを男に手渡す。
「ありがとう」
礼を述べながら男は顔や身体の汗を拭き取り、丁寧に畳まれた己の私服を広い、身につけていく。
「シャワーくらい浴びていけばいいのに」
「いや、大丈夫大丈夫。気にしないで」
全ての衣類を纏うと男は、やや古風な眼鏡を付け、懐からインスタントコーヒーの袋を取り出した。
「これ、良かったら飲んで。美味しいよ」
「まあ、ありがとう! 明日の朝、仕事前に飲むわ!」
「うん。じゃあ、また今度ね」
嬉しそうにコーヒーを受け取る女に笑顔で手を振り、男は部屋を後にした――。