デスサイズ
黒斗の家 ダイニング
鈴の作った朝食――白濁(はくだく)色のドロドロな味噌汁と、真っ黒に焦げたサンマを食べる黒斗と鈴。
「……ケイちゃん、元気にしとるかなあ……」
黙々と食事をしていた鈴がポツリと呟いた。
「……………………」
黒斗は何も答えない。
「引っ越し、急やったから挨拶も出来んかったし、何処に行ったか分からんし……」
大神によって殺された恵太郎の両親の遺体は発見されなかった。
遺体どころか殺された形跡すら無くなっており、破壊された家も元に戻っていた。
そして、これも大神の力によるものなのか、世間では竹長一家は伸也の遺体が見つかった後、急に引っ越しをしたという認識になっている。
(……人の記憶や認識を操るなんて、簡単に出来るのか……? 428年生きてきて、そんな能力聞いたことも無いが……)
「……クロちゃん? ボケーッとしてどないしたん?」
「……いや、別に……」
鈴に声をかけられ、黒斗は思考を中断する。
「やっぱり、クロちゃんもケイちゃんが居なくなって寂しいんか? 何だかんだで仲良しやったもんな」
「……仲良しか?」
「仲の良い喧嘩友達やったやん。対等に口喧嘩してたしな」
「……………………」
対等 イコール 同レベル。
そんな考えがよぎり、黒斗は心外だと言わんばかりに眉を潜めた。