デスサイズ
「昨日な、帰り道で拾ったんよ。電柱の側で、ダンボール箱に入れられてたのを見つけたんや」
「それはまたベタな展開だな」
興味がなさそうにテーブルの椅子に座る黒斗だが、お構い無しに鈴は話を続ける。
「ウチ、ほっとけなくて……家に連れて帰ったんや。当然、おかんにはめっちゃ叱られたけど……何とか説得して飼ってもええことになったんや!」
ご機嫌な鈴だが、対する黒斗は無表情のままである。
「……で、何故お前の猫が俺の布団に入り込んでいたのか説明が欲しいんだが」
「いや、な。この子めちゃくちゃ甘えんぼでなー。ウチの行くとこ行くとこ着いてくるんよ。今朝もクロちゃんの家に着いたら、いつの間にか後ろに居て驚いたわー。とりあえず、仕方ないから一緒に連れて入ったんやけど……」
「……勝手に人の家に猫を入れるな。ていうか毎回毎回、人の家に入り込んでんじゃねえ」
溜め息まじりに言う黒斗だったが、鈴は逆に「鍵をかけんほうが悪いんや!」と開き直る。
「で、ちょっと目を離したすきにリンが居なくなってもうて、探してたんや。まさかクロちゃんの部屋に入ってたとはなー。堪忍(かんにん)なー」
両手を合わして謝る鈴を見て、黒斗はやれやれと肩をすくめるのだった。