デスサイズ
(猫が化けて出るなんて、ある訳ねえよ)
安堵の溜め息を吐き、立ち上がる林。
ザシュッ
何かが切り裂かれるような鈍い音が響くと同時に視界が揺れて、床に膝をついた。
「え…?」
背後から強い殺気を感じて振り向くと、そこに居たのは黒いフードつきのコートを着た黒髪の少年が立っていた。
少年が持つ大鎌の切っ先には血液が付着し、ポタポタと床に落ちて赤いシミを作っていく。
数秒の間を置いて、林は背中に激痛を感じ、ようやく斬られたことを理解した。
「……っ、イッ、イデエエェ!!!!」
強い痛みにのたうち回る林。
そんな彼を少年…黒斗は微笑しながら見つめ、持っていた鎌で林の胸を切り裂いた。
グシッ
グシャッ
肉が裂かれ、そこから血が噴水のように噴き出す。
「がああああぁぁ!!」
あまりの痛みに悲鳴をあげる林。
「くっ、ふうぅ…!」
荒い呼吸をしながら、林は己を見下ろす黒斗を睨みつける。
「だ、れだ……!! 何なんだ、テメー、はっ!!」
「動物を殺したのは何度目だ?」
問いかけには答えず、逆に質問してくる黒斗に林は怒鳴りつける。
「んな、もん…知るかあっ!! テメーは、何だ!! 俺を、殺すつも…」
胸の傷口に黒斗が片足をあげ、全体重を乗せて強く踏みつけてきた。
ミシィ
ブシュッ
「ガッ……グ、ギィ」
骨が軋み、踏みつけられた傷口から血が零れ落ちる。
胸だけでなく、床に押しつけられている背中からも血が溢れて服を濡らしている感覚がして、言葉では言い表せない嫌悪感に林は襲われた。