王子と魔女の恋御伽


「何?寂しいの?」


冗談げに聞き返してみても彼女は「別に」と視線を再び窓の外に戻した。


「ここは…深い、深い海だから。」


彼女の表情は見えない。


「海?」


「暗くて深い、ただの空間。


その中にいる私たちはただただ光を求めて外の世界に憧れる。」


相変わらず彼女の表情は見えないけれど。


きっと、彼女は今1番悲しい表情をしているんだろうと思った。

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