王子と魔女の恋御伽
最後に感情を持ったのは…もう、思い出せない。
”原因不明の病”。
高校に入ったばかりの頃の私に突きつけられた現実。
医療技術の発達したこの時代に、”原因不明の病”。
余命すら分からないままただただ私の病状は悪化して言った。
最初の頃はまだ、希望もあった。
仲がよかった友達に部活動の先輩、家族たちに支えられて”奇跡”を願っていたから。
でも1年が経つと、そんな”奇跡”もあっけなく消え去った。
原因不明の病が私の体をどんどん蝕んでいき、食事さえまともに取れなくなってしまった。
家族は何も言ってはこないけどきっともう私にはそんなに時間は残されていないんだろう。